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(山岡S)

ひがえり (山岡S)

出張。
でばるではなく音音読みでしゅっちょうと読む。
いい響きだ。
社会人ならではだ。
山岡、初めての出張を命じられ非常に緊張している。
行先は北海道。
初めてだ。
飛行機で行くことになる。
生まれて2度目の飛行機だ。
したがって緊張している。
北海道というと北の大地。
食べ物が美味しいはず。
今からとても楽しみだ。
「山岡君、北海道のA大学の提案に行ってきてくれ。
仕様書はこれだ。
よく読んで提案書を仕上げてくれよ。」
マネージャーから直々に命令される。
提案書の作成もだいぶこなれてきたように思っているが、今回は大学構内のネットワーク全体の敷設でとてもボリュームがある。
毎日遅くまで時間をかけてなんとか提案書ができあがる。
ときに最近オフィスにポストスクリプトプリンタが導入された。
LPS20という名前だ。
これが何と分20ページも印刷できるスピードマシンだ。
しかも印字が抜群に綺麗である。
この前はうっかり1000ページ超の英文マニュアルを印刷してしまったが、誰にも見つからないよう大切にしまってある。
LSP20から出力されたA大学向けの提案書はまるで本屋さんで売っているように綺麗だ。
これだけ綺麗なら受注間違いなしだ!。
「山岡君、飛行機は朝一のに乗っていくから。
 当日は羽田で待ち合わせよう。」
白百合先輩から告げられ
「はい。
 わかりました。
 遅れないように気を付けます。」
「で今回もプレゼンを頼むよ。
 先生達をぎゃふんと言わせちゃってよ。」
「かしこまりました。
 いつものようにですね。」
「そうだよ。
 うまくいったら北の大地の美味しいご馳走が待ってるぞ。
 楽しみだな!」
緊張からワクワクに気持ちも切り替わり、出張まであと2日のこと。
朝一の飛行機ってのは何時発なんだろうとちょいと調べてみる。
問題発生である。
当日電車で向かっていては間に合わなことに気がつく。
ということは前日から羽田入りということなのだろうか。
白百合先輩はどうするのだろう。
「僕は近いから間に合うよ」
とのこと。
「ではわたくしはどうしたものでしょうか?」
「君君、前にも言ったけどなんでも頼ってちゃだめじゃないか。
 そこをどうにかするのがSEの仕事だろう。」
そういうことだったかと
「はい。
 承知しました。
 なんとかして、朝一に間に合うようにします。」
羽田に朝5時頃着いていればいいので前日から歩く。
いや歩ける距離じゃない。
白百合先輩の家に泊まる。
いや風呂がない。
となると・・・起死回生の羽田の近所の宿に泊まればいいことに気づく。
マネージャーに相談すると、
「近くのホテルをとりなさい。
 その代わり日帰りすること。」
北海道。
日帰り。
話が違うのでは?
出張ってのはお泊りなのでは?
だからこその地元の美味しいご馳走に舌鼓なのでは?
出張には日帰りもあると知る。
そんなこんなで2回目の飛行機に乗り北の大地に降り立ち、先生達にはぎゃふんと言わせられ、
「白百合先輩、今回はすみませんでした。
 完全に相手が上手でした。
 修行が足りないことを痛感しました。」
「そうだね。
 若輩だからな君は。
 じゃ、帰るとしようか。」
「美味しいご馳走は・・・」
「あるわけないだろ。
 空港で缶ビールでも飲んで行くとしよう。
 それとカニまんってのがあるからそれをつまみにな。」
カニまんは白百合先輩がおごってくれた。
ビールはもちろんサッポロビール。
初めての出張は前泊・日帰り・カニまんという記憶に残るものであった。

2019年09月02日

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